漫画「カメレオン」は少年マガジンに9年間ほど連載された加瀬あつし先生の作品です。
コミックは全47巻で、累計3000万部を売り上げたとされています。
この漫画は、単なるヤンキー漫画だと広く思われがちのようですが、ここまで人気が出たのには秘密があります。
今回は「カメレオン」を呼んでみた感想や、作中から学べる”勝つための姿勢”などについて書いていきます。
悲惨な中学生時代
主人公の矢沢栄作は、中学生時代は毎日のように凄惨ないじめにあっていました。
ちなみにそのころのあだ名は「ロデム」で、奴隷のように過ごしていました。
よくぞその環境に耐えられたものです。
矢沢栄作はいじめを苦に自殺することや、登校拒否になることはありませんでした。
そして高校生になったら一躍ヤンキーたちの頂点に立とうと夢見るのです。
この前向きな姿勢が彼の夢の実現の源になっていきます。
高校デビュー
有名なヤンキーは基本的に中学生の頃から名前が売れています。
全国の名だたる不良どもがこの話には登場するのですが、矢沢栄作は高校生になってヤンキーを志した「高校デビュー」の不良です。
他の不良と違い、別に家庭環境に問題があるわけではありません。
ぐれる必要がまったくない状態で、ただ単純にかっこいいから、認められたいからという理由でヤンキーとなります。
そして自宅から電車で成南高校に通うのです。
そこには中学時代の彼の姿を知る者はいません。
矢沢栄作の腕力
ケンカが強くなるために日々修行をしていたわけではないので、矢沢栄作はまったく腕力がありません。
そもそも身長が140cmとされています。
見かけ通りにケンカは弱いです。
ケンカの腕前だけで上りつめようと考えていたら、矢沢栄作のサクセスストーリーは欠片も完成しなかったはずです。
矢沢栄作は自分の弱さを把握していました。
そして不良の思考能力やどうすれば自分が上にいけるのかをしっかり分析しています。
また、周辺の有名なヤンキーをしっかり研究しており、それが矢沢栄作の勝利に繋がっていくのです。
矢沢栄作の武器
矢沢栄作の最大の武器はハッタリです。
そのハッタリを成立させてしまう強運も凄いのですが、その場その場にあった適切な対処をするためにハッタリを使い、奇跡を起こして乗り切っていきます。
時にはボコボコにされることも計算のうえでハッタリをかますのです。
命をかけ、覚悟を決めたハッタリが事態を好転させていきます。
ハッタリだけだったらここまで魅力的なキャラクターにはなっていなかったでしょう。
矢沢栄作はいじめぬかれた中学時代にある程度の耐久力を身につけています。
どんな攻撃に対しても決して屈することなく挽回策をひたすら考えるのです。
負傷した回数は数知れず。
入院したこともあります。
刺された傷もあります。
やられても逆転するまで粘る姿勢が矢沢栄作の魅力のひとつです。
増えていく仲間たち
ケンカが強いだけあったり、凶悪なだけだったりでは人は集まってきません。
矢沢栄作は相手の心の内を読みハッタリをかますので、最終的に相手に勝利すると、相手は心から矢沢栄作に負けを認めます。
矢沢栄作の根性を認め、仲間として心を開くことになります。
こうして矢沢栄作は名だたるヤンキーたちを仲間にし、認め合ってヤンキーの頂点に上りつめるのでした。
話のなかで矢沢栄作は強力なヤンキーで集めた暴走族「OZ」を組織します。
そしてその初代総長となるのです。
勝つための手段
真っ向から腕力で立ち向かわなくとも勝つことができることをこの「カメレオン」は教えてくれます。
それは卑怯な手を使うというわけではなく、相手の本当に必要としているもの、心から恐れているものを見抜き、気づかせることで勝機を見い出すというものです。
腕力だけで戦いは解決しないことも学ばせてくれます。
相手の存在をどこまでしっかりと見つめるのか、それが最終的に争いを根っこから解決していくのです。