紫陽花(あじさい)といえば「七変化」ともいわれる美しい色彩の花びらを持つ植物ですね。
小学校の頃にアサガオを種子の状態から、花びらが咲くまでに育てるというのは経験された方も多いのではないでしょうか。
でもアサガオってよく観察してみると分かるんですけど、すぐ隣の苗木のものと花びらの色が違ったり、同じ木から咲いているものですら花びらの色が違ったりするんですよね。
では、花びらの色の違いが出る理由とメカニズムってなんなのでしょうか。
苗木が育つ「土」の栄養分がカギ
アジサイの色の変化の元となるのは、その苗木が根付いた「土」の成分にあります。
その重要となる成分が「アントシアニン」と「アルミニウム」なのです。
アントシアニンっていうと、ブルーベリーの色素でも知られ、目に良い成分でも有名ですね。
アジサイにもアントシアニンを多く含んでおり、そのアントシアニンの色素の色を変化させるアルミニウムに色彩を変えるメカニズムがあるのです。
つまり、アントシアニンにアルミニウムが結びついて色彩が変化するんです。
このアルミニウムの含有量が多いと、アジサイの花びらの色が「青色」になるそうです。
逆にアルミニウムの含有量が少ない場合、「赤色」に近くなるといわれます。
また、例外で両方の含有量が少ない場合は綺麗な「白色」をしています。
(白色のアジサイは元々アントシアニンを含有していない)
また、土壌のPH(ペーハー)値も大きく関係しているそうです。
PHとは、0~14の数字で示されるもので、7を中性とし、0に近ければ近いほどより酸性が強くなり、逆に14に行くほどアルカリ性が強くなります。
実は、PH値によって色彩を変えるのに重要な役割を果たす「アルミニウム」の吸収が差がでてきます。
アルミニウムの吸収を良くさせるには、土のPH値を「酸性」にする必要があるのです。
より酸性が強ければ、土の中に存在するアルミニウムが溶け出し、根から吸収されやすくなるからです。
つまり、綺麗な青色のアジサイを作る場合は、土壌を酸性にし、アルミニウム含有量が豊富であることが条件となります。
逆に赤色のアジサイを作りたいときは、土のPHをアルカリ性にすればいいのですね。
そうすれば、たとえ土壌にアルミニウム成分が多く存在していたとしても、根からの吸収がされにくい状態で存在しますから、葉にアルミニウム成分が届く量が少なく、よって青色にはならないんです。
PHってどうやったら分かるか?
土のPH値を知るには、「PH計測器」を使用するのが簡単です。
計測器の一部を土壌に突き刺し、しばらく待つとメーターが動いて、その土のPH値を教えてくれます。
中には、デジタル体温計のように数字化してくれるものもあります。
上記の画像は「アマゾン」の商品ですが、3000円くらいから買える安価なものも多いので、植物を育ているのが好きなかたは持っておくと便利かもしれませんね。
土のPH値を変えるには?
土壌のPH値は雨など、様々な条件で変わってしまうので、アジサイを鉢で育てる場合は市販の土を買うのが手っ取り早いです。
綺麗な青にしたければ「酸性」のものを使用し、改良剤などでアルミニウム成分を含むものを併用するといいかもしれませんね。
また、赤系にしたければ「アルカリ性」の土を使用するといいでしょう。
まとめ
アジサイが青くなる理由は、土壌が酸性で、アルミニウム成分が豊富であること。
アジサイが赤くなる理由は、土壌がアルカリ性で、アルミニウムの吸収が妨げられているから。
白いアジサイは、色を変化させるアントシアニンが入っていないから、アルミニウムが吸収されても白のまま。
ちなみに、紫も良く見かけますが青と赤混ざり合った色彩なので、アルミニウム成分がほどよく吸収されている場合はこの色になるんですね。
ちょっと余談ですが、有名スポットである明月院は「紫陽花寺」とも呼ばれるくらいアジサイの名所で、そこにさく花びらはすべて見事な「青」をしています。
そのことから「明月院ブルー」とも称されるほど。
というのも、もともとここで咲くアジサイは「ヒメアジサイ」という品種で、特に鮮やかな青になるというものだそうです。
また、このヒメアジサイは土壌をアルカリ性にすると、見事な「赤」になるそうです。
アジサイは6月~7月が見もののピークなので、是非機械があれば明月院の「明月院ブルー」を見に行きたいですね。