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サラリーマン金太郎から学ぶ哲学「サラリーマンの生き様」

本宮ひろ志先生の名作で、TVドラマ化もされた「サラリーマン金太郎」。

主役の矢島金太郎は一万を超える暴走族の頭をしていた過去をもっており、偶然海で助けた老人が会社会長だったことから、その会社のサラリーマンとなって活躍する物語です。

 

大学にすら通っていませんが、己が信じる道を貫く金太郎の姿に胸が熱くなります。

もちろん脇役たちもそれぞれの個性を発揮し、サラリーマンの厳しさ、喜びを様々な角度から表現しています。

 

今回ご紹介するのは三巻で新入社員入社式で話す黒川社長の訓示です。

横社会と縦社会の違いの把握

「学生時代、君たちが持っていた人間関係はほとんどが同格同列、つまり横の人間関係。

しかし実社会の人間関係はほとんどが上下関係。

上の者は部下をどう掌握するか、下の者は上司にどう認められるか。それが大人の実社会だ」

 

これがサラリーマンの心構えです。

 

下の者は認められるために工夫をし、結果を出すために全力を尽くします。

上の者は下の者が働きやすい環境を整えます。

志を語り、やる気を高めます。

 

こう考えるとサラリーマンの世界は実にシンプルです。

 

 

大人の実社会を認識するのは難しい

「これを認識できなければ、上司をムカつく奴だと思いドロップアウトしていくか、反対に組織の中に埋没し、無気力にマニュアル通りこなす取り替えのきく人材となってしまうか、そのどちらかだ」

 

数年の時をかけて、大多数のサラリーマンはこのどちらかの道を辿ります。

 

ムカつく上司にどうすれば認めてもらえるのか深く考慮もせず、たいした工夫もせず、退職していくのです。

または、将来や会社に希望を見い出せず、ただ給料をもらうことだけで満足するサラリーマンになってしまうのです。

これは上司のせいでも会社のせいでもなく、自分自身の考えの甘さが招いた結果です。

 

こう考えるとサラリーマンの世界は過酷です。

向上心を常に持ち続けなければならないからです。

 

 

会社の幹部になるためには

「将来君達が幹部になって人の上に立つ時、大将の条件を教えよう。

それはたったふたつだ・・・ひとつは、正直であるということ。

もうひとつは気前がいいということだ。

気前良さということは、出来る範囲で金を出しおしむなということもそうだが、下の者に対し、自己を犠牲にしてでも守ってやるという精神だ」

 

正直でなければひとの信頼は得られません。

上司からの信頼はもとより、部下の信頼も受けられないのです。

到底ひとの上に立つ者の器量ではありません。

 

企業にとってもサラリーマンにとっても、商売にとっても「信」の一字は限りなく重いようです。

仲間や後輩を自分を犠牲にしてでも守る精神も幹部になるためには必要な要素です。

 

そうあらねば本当の信用や信頼は得られないということなのでしょう。

確かに自分の身も顧みずに他人のために一生懸命になれる人間がいたら素直に尊敬に値しますし、その下で働きたいという思いにかられます。

 

こう考えるとサラリーマンが出世するのは、断固たる覚悟が必要だということがわかります。

 

 

まとめ

黒川社長の話はどれもサラリーマンの実像の側面を捉えています。

この話は新入社員だけでなく、経年の社員も初心に戻って考えるべき問題です。

 

そしてすぐさま実行に移すべきなのです。

成長していく会社、大きくなっていく会社にはそういった社員が多くいるに違いありません。

 

まさにビジネス、サラリーマンのバイブル的な存在になったこの作品ですが、読むたびに自分はここまで熱くなれているのか、正直になれているのか、自己を犠牲にできているのか自問自答してしまいます。

 

そして改めて仕事に向き合う姿勢を正すことになるのです。

やる気があるなしに関係なくサラリーマンにはぜひ一読してもらいたい作品です。